後日、ふぁ〜さんから、次のレポートが届きましたので、掲載します。



あっどうも、「ふぁ〜」です。
梅雨時期はジメジメというか、モォワァ〜ンというか、不快な湿度は嫌なもんです。
そうそう、嫌なもんと言えば、最近不幸な出来事があったので報告しますね。


プロローグ
それは6/24、先週の日曜日のことでした。
太宰府の九州国立博物館に日本初の測量地図である伊能忠敬の「伊能図」の原本を見に行こうと、梅雨空を気にしながら黄カブ号で200号線を南下していた時のことです。
直方市を抜けて飯塚市に入った所で、急にトルクが無くなったので、路肩に寄せてエンジンを止めました。
昨年の夏に経験した「熱ダレ」という現象ではないかと思い、冷えるまでメシでも食べてましょうと、呑気に構えて昼食タ〜イム。
窓越しにカブを見ながら味噌ラーメンを堪能、冷静になるにつれて、何か金属を引っ掻くような嫌な音がしてたような?気がしないでもない。(そう、背中 黒板に爪を立てたような音)
食べ終えてエンジンはもう冷えてるだろうと、キーを回して緑ランプ点灯、恐る恐るキック・・・・
ん? キック・・・・が? あれれ・・・・降りない! なんで? どうして?
これって、素人でも判るヤバイ状態じゃないの?


第一章「再会」
黄カブ号との出会いは、2003年6月。
それまで騙し騙し乗っていた通勤用のJOGが壊れ、今度買うのは耐久性重視で選ぼうとWeb検索してた時です。
一般的なカブのイメージを払拭するのに十分過ぎる、ビビッドカラーな稲妻イエローのカブが!吾輩の心を捉えて離しませんでした。
それから、今の黄カブ号を手に入れるまで、そんなに時間はかかりませんでした。
が、偶然にも購入したバイク屋が飯塚市。迷うことなく救援要請の電話しました。
迎えに来るまでの待ち時間、しばやんに聞いてみようと電話したのですが、色々と推論してもらうも、実車を見ずして特定できず。
そうこうしてる間に軽トラ到着。
荷台にカブ、助手席に吾輩、外は土砂降りの雨・・・・なんか絵になります。
4年ぶりに再会した運転席の社長は、吾輩の心中とは裏腹に終始穏やかでした。


第二章「初診」
社長がジェネレーターカバーを外し、フライホイールの中心ネジにレンチをあてて何回か回すと、キックが降りるようになりました。
しかし、キックするとハッキリと聞こえる異音。
社長の診断としては、開けてみないとわからないが、経験上、腰下のコンロッドがグラついているのではないかとの事。
修理するには、部品2万+工賃3万で5万コースだと言う。ボーナス時期とはいえイタイ。
焼付きが原因で腰上だけなら・・・・と考えていた吾輩は瞬殺されたのでした。
事態を聞きつけた主治医Dr.デングリ氏から電話があり、顛末を語ったが上手に伝える事が出来ませんでした。
結局、お店にバイクを預けてJRで帰宅、フテ寝から目覚めて、お達者な方々にアドバイスを求めました。


第三章「助言」
お達者方からいくつかの対策案が出されました。
吾輩の知識ではSPD100換装とC90換装しか理解できませんが、大陸製エンジンに手を出して夢の125cc&5速ロータリーとか、C50&スカッドで106ccとか、4速狙いでCD50を遠心化とか、????沢山の意味深なアドバイスを提供頂き、意味は良く判らないのですが感謝です。
何か色々と策はありそうですが、吾輩、腕が無いのでこのままプロに修理を頼んでしまおうか?と、夜遅くまで悶々と悩んでいました。


第四章「覚悟」
フテ昼寝したせいか寝付けず、お達者案を基に色々と情報を漁っていると4速化も視野に入れて理想を追求。
必要なものは、エンジン、4速ミッション、ガスケット、いろいろ工具、時間、根性、腕・・・・
「時間」は「セロー」で通勤してクリア。
「根性」は持ち合わせておりませんが、いずれは落ちる蛇の道に遅かれ早かれだろうという洗脳により、良い機会なのかもとポジティブ思考。
「専用工具」はおろか普通の工具さえ満足に持ってませんが、貸して頂けると勝手な判断。
一番難しい「腕」は、幸運にも日本屈指の知識と経験を有する「腕のあるお友達」北Q組が近くにおられるという、非常に恵まれた状況に素直に感謝?
日付変わって月曜の午前中に覚悟を決めました。


第五章「延命」

理想はいいんだが素材を揃えるには、新品で売ってる物ではないので時間がかかるらしい。
少々、焦ってバタバタしていると、お達者方から「慌てない」と言われ、昨日から冷静さを欠いていた自分に気付きました。
そんな中、DAXさんから「延命措置」として、新たな提案があったのです。
それは、新たなドナーが現れるまでDAXさん所有のC90実働エンジンを長期貸与していただけるというものでした。
素直がモットーな吾輩は、この「天使のささやき案」に従って、とりあえずエンジン載せ替えることにしました。
JOGにVinoのエンジン載せ替えて以来だから久々です。
不安を抱えつつ、もう引き返せません(汗)。北Q組の一員です。


第六章「準備」
まずは飯塚のバイク店から黄カブ号を運ばないと話が始まりません。
一週間でバタバタと必要な資材を調達します。
黄カブ号帰還計画は、木曜の夜に職場の同僚から軽トラを借用する。
検死作業に必要な専用工具と大事な代替エンジンは、DAXさんから借用する。
金曜日の終業後にDAX邸に向かうと、そこには見慣れた面々が二人・・・・なんでいるんですか? こんなところに! ホントに鼻の利くお達者方です。
いきなりデジカメで苦笑する姿を撮られてしまった。
DAXさんは折角の休日を利用して、エンジンを降ろして頂いてました。
長期借用C90エンジン一式を荷台に載せ、それを囲んで換装の注意点、原因の推論と次期エンジンについて、あれやこれと・・・・小一時間。
捨てる神あれば拾う神あり、持つべき物は友!感謝です。


第七章「復旧」
6/30の土曜日となり、作戦決行です。
飯塚から軽トラで黄カブ号を知人宅に帰還させ、まずは知人と二人でいつ何時発動されるやしれぬ北Q組の緊急召集に備え、エンジンの載せ替え作業を行います。
エンジンに付随する電装、ワイヤー類、燃料系などを外し、車体2ヶ所で固定されるボルトを抜けばエンジン離脱。



借りてきたC90エンジンを逆順に組み付けますが、ホーンが2極だったので元の1極の物に交換、ホース関係も足りない部分は差し替えます。ここまでの作業、のんびり2時間。
エアクリーナーもC90用の大容量の物と交換、またシリンダー長も6mm長いので50ccの純正マフラーステーではダメなんだそうですが、幸いにもデングリ氏提供の社外マフラーの取付ステーが長穴だったので、難なくクリア。


大人2人いれば単なる部品交換と大差なく、作業は順調に進めることができました。
近くを試走すると、80ccから5ccUPですが、イイ感じです。
戻って、暫らくすると、爆音轟く怪しいカブが、知人宅前を通り過ぎました。


第八章「検死」
エンジン載せ替えが終わったのを見計らったように、検死官のしばやん登場!
これは心強い通りすがりのカブライダー。
早速、検死が始まります。が、作業は知人と私の二人です。
腰上はヘッドの4本ネジを外して抜くだけ。
シリンダーを抜こうとした時、スカート部に砂銀のような金属粉が・・・・
尋常ではありません。シリンダーを取り外してピストンを持つと・・・・
あ〜ら、左右方向に動く動く・・・・スタッドボルトに当たる程のグラグラです。
また、金属粉がピストンピンに噛んでいるのか首振りも渋く、シリンダ内にはピストンがブレて付けた残映がハッキリと見えます。
検死官はピストン持って、昨年の僕と一緒とか言って、不謹慎にも笑ってます。
さらに、証拠写真を接写モードで記録して、主治医に電話で現場検証結果を詳細かつ楽しそうに伝えておりました。
「ご安心ください。主治医の医療ミスではなさそうです。訴訟にはなりませんよ。・・・・」
いったい何の話をしているんですか? ちゃんとわかるように説明してください。
ニヤケ顔が消えない検死官の説明によると、どうもクランク大端部のベアリングが破損したようです。
破損した金属片がクランクケース内に飛散して、再利用するには腰下分解・洗浄、各種ベアリング交換等、作業も工賃も大変なようです。


エピローグ
通りすがりの爆音カブが慌ただしく過ぎ去った後、いつぞや使う機会がある?ないと思うが、保管するにも面倒なので友人と2人で適当に元の形に戻しました。
カムチェーンも定位置に組み付け、ヘッドまで締め込んで、最後にキャブをヘッドに2本のネジで締めたら終わり・・・・ありゃ?クルクルくるりん? ネジ穴ナメてるやん。
ヘッドって丈夫な金属の塊だと思ってましたが、結構簡単にナメてしまうので注意ください。
そんな人いないか?
そんなかんなで、C90エンジン換装、検死作業は終わりました。


翌日7/1の日曜日
先週、「志」半ばで断念せざるを得なかった九州国立博物館に行ってきました。
「伊能図」の展示が本日最終日だったので、是が非でも・・・・
黄カブ号で行こうとしたのですが、エンジン提供者のDAXさんから、あのエンジンでの長距離走行は「不安」とのアドバイスがあり、これ以上お達者HPへのネタ提供は避けたいとの思いから、「セロー」で出発。
まじまじと見ることができ、先週とは比べ物にならないくらい充実した週末でした。

しかし帰宅後、「HPネタは新鮮なうちに」をモットーにしている、お達者HP管理者からのレポート提出要請が厳しく、取り急ぎ報告させていただきました。
これからも、先輩お達者方に囲まれ、もまれながらも、カブライフを楽しんでいきます。
次は、楽しいレポートを書きたいものですね。


inserted by FC2 system